| 心筋内レーザー血行再建術(TMLR)について |
| 新東京病院心臓血管外科 |
甲元拓志 |
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心筋内レーザー血行再建術(transmyocardial
laser revascularization:TMLR)
は、レーザーを用いて心筋を貫通するチャンネル(孔)を作製することによって、その周囲の心筋の血流を改善しようとするものです。当初は心室内腔からチャンネルを介して血液が直接心筋を灌流するとの仮説に基づいて始められましたが、現在では血管新生や除神経といったメカニズムが臨床的効果の発現に関与しているとされています。1990年代に欧米にて臨床試験が行われ、炭酸ガスレーザー及びホルミウムYAGレーザーはすでに米国においてFDA(米国食品医薬品局)の認可を受けています。
TMLRは、従来のバイパス手術やカテーテル的治療(PTCA、ステントなど)では血行再建することの困難な、びまん性の冠動脈狭窄性病変を有する患者さんに対する新しい治療法として注目されています。当院においても、国内他四施設と共同(厚生省指導のもと)で、ホルミウムYAGレーザーを用いたTMLRの臨床試験に参加しています。
TMLRに用いられるレーザ ーと手術手技全身麻酔、開胸下に本手技は施行されますが、バイパス手術との併用にて行われる場合と、TMLR単独で行われる場合があります。バイパス手術との併用療法の場合、一般的には人工心肺下にバイパス手術とTMLRが行われます。心拍動下バイパス術に併用される場合及びTMLR単独で行われる場合には、人工心肺は用いられません。現在TMLRに臨床的に使用されているレーザーは、炭酸ガスレーザー、ホルミウムYAGレーザー、及びエクシマレーザーの三種類があります。
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甲元拓志 先生
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図−1 |
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TMLRに用いられるレーザ ーと手術手技全身麻酔、開胸下に本手技は施行されますが、バイパス手術との併用にて行われる場合と、TMLR単独で行われる場合があります。バイパス手術との併用療法の場合、一般的には人工心肺下にバイパス手術とTMLRが行われます。心拍動下バイパス術に併用される場合及びTMLR単独で行われる場合には、人工心肺は用いられません。現在TMLRに臨床的に使用されているレーザーは、炭酸ガスレーザー、ホルミウムYAGレーザー、及びエクシマレーザーの三種類があります。
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1)炭酸ガスレーザー
炭酸ガスレーザー(PLC社)は、1980年代にさきがけてTMLRに用いられ始めたもので、1998年には米国にてFDAの認可を得、1999年7月からは保険適用となっています。この炭酸ガスレーザー(図1)は高出力であり、1回の照射で心筋を貫通させることが可能です。レーザー本体より伸びるアームの先端にハンドピースがあり、これを心表面に当てることにより位置を決定します(図2)。本レーザーを用いて、より低侵襲にTMLRを胸腔鏡下に行う試みも行われています。
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図−2
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2)ホルミウムYAGレーザー
ホルミウムYAGレーザー(エクリプス社)も1999年に米国にてFDAの認可を受け保険適用となっています(図3)。これは、炭酸ガスレーザーに比べて低出力であり、複数回(約10〜20パルス)のレーザー照射を必要とします(図4)。光学的ファイバーを用いてのエネルギー伝達が可能であるため経皮的(カテーテルを介して心臓の内側から)にチャンネルを作製する試みも行われています。
適応
TMLRの臨床的適応は、
1)びまん性の冠動脈狭窄病変である、
2)薬剤による内科的治療が無効な狭心症状を認める、
3)対象となる領域の心筋の生存性が確認されている、
といった基準に基づいて行われています。
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図−3 |
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治療効果
米国にて行われた臨床試験では、TMLRを施行した200例の検討にて、CCSの狭心症クラス(0から4度)にて、75%の症例に2度以上の狭心症状の改善を認め、また耐運動能の改善、入院回数の減少、およびTMLR領域の血流の改善などが報告されています。また、TMLRと内科的加療の継続とを比べた無作為比較試験においても、内科的治療群に比べ、狭心症状及び耐運動能の改善、生存率の向上といった好ましい結果が報告されています。
日本国内にては、先に述べた炭酸ガスレーザーの臨床試験は終了しており、14施設による共同試験にて、61例(TMLR単独13例、バイパス手術併用48例)に施行され、狭心症状は全例で術後狭心症クラス2度以下と、良好な結果が得られています。ホルミウムYAGレーザーの国内での臨床試験は、当院を含む5施設にて進行中ですが、現在まで良好な結果が得られています。客観的なデータによれば、2種類のレーザーによる臨床的効果の差はないと考えられています。
今後の展望
最近の動向としては、種々の血管増殖因子を併用する、或いは血管新生に関連した遺伝子治療を併用する等の方法により、TMLRによる血管新生をさらに促進する試みなどが行われています。
TMLRはびまん性の冠動脈狭窄病変を有する難治性狭心症の患者さんへの新しい治療法の一つとして臨床的に認められつつありますが、今後さらに基礎的研究及び臨床的な評価を重ねていくことが必要であると考えられます。
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